2015年07月03日

マリア・カラス 伝説のオペラ座ライブ









シネギャラリーで上演中の

『マリア・カラス 伝説のオペラ座ライブ』を観て(聴いて)参りました。


1958年12月19日

パリオペラ座で行われたガラコンサート

それが、マリア・カラスの

フランス、そしてオペラ座のデビューだったのです。




もちろん彼女のオペラはCDでしか聴いたことがありませんが

舞台で歌っているカラスの卓越した演技力に

力強いソプラノヴォイスに

この方は、永遠のディーヴァなのだ

映画館であることを忘れ、オペラハウスで聴いているような錯覚にとらわれてしまいました。



特に第二部の

『トスカ』二幕でのアリア

歌に生き、愛に生き』は全身全霊で歌い、演技をしている

そのお姿は天上から神がカラスに降りてきているのではと思うほどです。




素晴らしい舞台とはこれほどまでに

心を打つものなのですね。


波乱に満ちたカラスの人生と重ね合わせて

この『トスカ』二幕に釘付けになったわたくしでした。


もう一度、聴くことができましたらもっと深く聴くことができるでしょうねicon12








明日、

久しぶりにrikuがやってまいりますので

『マリア・カラス』の話しをしてみようと思います。


彼も来月には

劇団四季デビューですので

【声】と【演技】を通して表現することの素晴らしさが解ってもらえたら嬉しいものですね。
  


Posted by 薫子 at 15:00Comments(0)シネマ

2012年01月19日

*悲しいけれど明るく、さようなら* 『エンディングノート』






先日、シネギャラリー

今年初めての映画を観ました。


観終わった今、

『年の始めにこの作品に出逢えて気持ちが引き締まった』と思います。







高度成長期に熱血営業マンとして駆け抜けた

『段取り命』のサラリーマン、砂田友昭氏。


丸の内にある化学メーカーの役員を経て 退職。


さぁ、第二の人生を楽しもうとした矢先に

ステージ4の胃ガンがみつかります。


まさに、人生の誤算であるガンの訪れに、

彼自身が全力で取り組んだプロジェクトは

『自らの死への段取り』でした。



予告は、

こちらからどうぞ。




是枝監督のもとで、監督助手をしていた

砂田麻美さんがご自身のお父上砂田氏を撮り、編集・監督をした作品です。




砂田氏が、まず取り組んだことは

『エンディングノート』と呼ばれるマニュアル作りでした。

それ自身には、公的な効力はないようですが、

自分がいなくなった後、家族が困らないように作成する覚書のようなものでしょうね。


11の項目からできていて

それに従ってドキュメンタリーは進行していきます。

① 神父を訪ねる

② 気合を入れて孫と遊ぶ

③ 自民党以外に投票してみる

④ 葬式をシュミレーションする

⑤ 家族、そして94歳の母と旅行をする

⑥ 式場(教会)を下見する

⑦ もう一度孫と遊ぶ

⑧ 孫に挨拶、母に電話
  親友と談笑
  息子に引き継ぎ

⑨ 洗礼を受ける

⑩ 妻に(初めて)愛していると言う

⑪ エンディングノート




末期のガンですから、

砂田さんは一気に痩せていきます。

が、

次々と終活の段取りを精力的にこなしていきます。


家族旅行で

94歳のお母様が、砂田氏に

『一緒に死ねれば楽なのにね』と言い、二人は笑いあいますが

お母様の気丈さに、悲しみが溢れます。




アメリカに住んでいる長男家族の3人のお孫さんに対して

『もっと、大きくなるまで見守りたい』と言う気持ちと

『ありがとね、ありがとね。』と言う感謝の言葉は


孫を持つ我が身に照らし合わせ

幼き者への愛おしさが深く伝わってきました。




砂田ご夫妻は

絵にかいたような仲良しご夫妻というわけではなく


離婚の危機もあり、

奥様にとっては

『会社人間から解放され、ようやく二人で人生を楽しもうとしたその時に・・』と言う思いがあり

クールな雰囲気を醸し出していました。


しかし、

砂田氏の人生が閉じようとしたその数日前に

『こんなことになるなら、もっと、もっと優しくしてあげれば。。。』と奥様の言葉に


砂田氏が

『ありがとう』と言います。

とても、か細い声でしたが、

その言葉に奥様は救われる思いだったのではないでしょうか。






『死』がテーマではありますが

ひたすら悲しいということではなく

砂田氏と砂田ファミリーの明るくて、さっぱりとしたキャラクターが

爽やかな別れとして、わたくしの目に映りました。





そして、砂田氏の人生は、

確かに69年と言う短いものでしたが

開業医のお宅に生まれ、

会社役員として67歳まで現役で働けたこと、

お子さん3人がそれぞれに優秀であり(←わたくしの想像ですが)

お孫さんに恵まれ、

都内中心部に居を構え、

一流の病院で看取られ

聖イグナチオ教会で最後の式を挙げることができたこと。

知的で生活レベルの高い、かなり恵まれた環境にあった方だと思います。









こんな風に死を迎えることができた砂田さんは

良く生きることを心がけ

自分に起きている現実を

そして

すぐそこまで来ている結果を冷静に受け止め


人生最後のプロジェクトを完璧にこなした

一流のサラリーマンだったのだな~と思いました。





砂田さんがおっしゃっていた

『終活』って

とても大切なことだと、

今、自分も年齢を重ねて、

改めて思うわけです。



人生の節目で

自分が主人公であるシーンは、そう多くないですよね。


生まれた時のことは、覚えていませんですし(可愛かったらしいですface05

自分のお葬式には参列できませんでしょ。


唯一、

結婚式くらいでしょうが

あまりにも、いにしえのこと故、記憶が・・・・emoji06emoji06




元気で暮らしている今だからこそ


自分自身をもっと知ることと

なるべく正しい生き方をしたいってこと、

まだ色々ありますが、欲張ったところで

所詮、無理ですしね。




砂田氏を乗せた霊柩車が

イグナチオ教会から四谷の街に走り出す

その光景は

緑に囲まれて

眩しいほどに美しく


『あ~、東京ってやっぱりいい街だな~』と思いました。

  


Posted by 薫子 at 19:48Comments(4)シネマ

2011年09月12日

ちいさな哲学者たち





とても興味深いフランスのドキュメンタリー映画を拝見して参りました。

セーヌ地方のZEP地区


ZEPとは、小学校、中学校、高等学校で
教育の成果が上がりにくい地域、教育優先地区のことだそうです。

そこにあるジャック・プレヴェール幼稚園は


3歳から5歳までの2年間の幼稚園生活で

哲学の授業を設けるという画期的な取り組みが行われていました。



その授業を受け持つのは

パスカリーヌ先生。

月に数回、ろうそくに火を灯し、こどもたちと輪になって

色々なテーマで話を進めていきます。









『愛ってなあに』



『豊かってどういうこと』



『自由ってどういうこと』



『死ぬのは恐い』




先生の問いかけに

初めは、戸惑い、意見もたどたどしく、

退屈してあくびをする子供、

ウトウト居眠りをしている子供

1年目は、先生にも迷いがあり、試行錯誤の状態でした。



しかし、2年目に入ると


先生が中心ではなく、


幼い彼らが、頭をめぐらせて、

その日のテーマについてたくさん考え、語り始めます。



そして、
お互いの言葉に刺激を受けて、

相手の話しに耳を傾け始めるのです。


途中で話しを横取りする子供に対して

『聞いて! 僕が話しているんだから』と言います。



相手と違う意見だったとしても

それを受け入れる余裕もでてきます。





先生とではなく

子供同士で話をすることで

自分の言いたいことを相手に伝えるために一生懸命工夫をする姿は


偉いemoji02』と感動してしまいました。


無邪気な様子に微笑まされるだけではなく


子供たちの思考の発達に驚かされます。


卒園の時に先生が子供たちに

『哲学するってどういうこと?』の問いに


『脳を使うこと~~』


『考えるのが好きだから、哲学が好き』


『先生のこと、ずっと忘れないよ』

優れた教師への褒め言葉に、


ジ~~ンとしました。



考える力を養うことは

教育の原点かな~なんて思いながら

久しぶりに真面目な雰囲気で帰宅した薫子でした。




次回、Rくんに会ったら
(この人も、哲学してますね↓) いつも以上にコミュニケーションをとってみようと思います。










小さな哲学者たちのアトリエは、こんな雰囲気です

フランス語の響きって、心地いいですねicon12icon12  


Posted by 薫子 at 16:22Comments(4)シネマ

2011年06月24日

【奇跡】 是枝監督最新作

シネギャラリーの会員になって3年目になりますが

なかなか足を運ぶことが出来ないうちに

あっという間に継続期間の1年が過ぎてしまいます。



舞台もそうですが、

『時間があったら行きましょうicon55』ではなくて


『時間を作って行きます emoji09』がベストですね。





是枝裕和監督の作品は


【誰も知らない】



【歩いても歩いても】

の2作を拝見しています。


特に、

【歩いても歩いても】は、

普通の家族の一日を描いた、今のテレビでは味わえない質感の高いホームドラマであり、


何気ない場面で交わされる会話のひとつひとつがとても印象に残りました。


是枝監督の演出力を期待して

『奇跡』はぜひ拝見したいと思っていました。





ストーリーは、こちらからどうぞ



九州新幹線が開業する直前、

両親の離婚によって、離れ離れになった兄弟(まえだまえだ)が

奇跡を信じて冒険旅行に出かける物語です。


主演のまえだまえだのお二人さんを含め、子供たちの演技が

本当にどこにでもいる子供なんですね。


大人顔負けの濃い演技力ではないのが

是枝監督の意図するところなのかなと思いました。


そして、

子供たちを見守る大人達が、

『さすがemoji01』です。


『歩いても歩いても』にもご出演された

樹木希林さん(祖母)

原田芳雄さん(近くのご老人)

阿部さん(教師)

夏川結衣さん(お友達の母)


を含めて

オダギリジョーさんが父親

大塚寧々さんは母親

橋爪功さんが祖父


と豪華なメンバーです。


これだけの役者さんが揃うと

『あたしは、女優icon14


『俺は、大物icon14


と、過剰な演技で存在感を際立たせる方が出てきそうですが


作品のためにそれぞれのキャラクターを抑えて

脇を固めることに徹していることの素晴らしさを感じました。



それでも、

樹木希林さんが登場すると

その場面は、彼女の静かなオーラに釘付けになってしまいます。

巧いな~と思います。


私生活では、色々なことがおありになる樹木さんですが

ロックな生き方をしているのは、ご主人よりもむしろ彼女のほうかも・・・とチラっと思いました。



タイトルの『奇跡』と言うほどの

奇跡は起こらないのですが


ささやかな日常の中に小さな奇跡があるのかもしれないと思わせる作品でした。  


Posted by 薫子 at 17:10Comments(2)シネマ